シニアNavi 岡山 vol.23 2016年秋号
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 平成27年5月、神戸三宮で開催された「第31回 削ろう会」。この大会は鉋屑の薄さを競いあう大工技量の真剣勝負の場です。宮大工さんでさえ電気カンナを使うのが常識となっている今日、時代に逆行するようなこんな技に何故、若い大工職人達が本気になって挑戦しているのでしょうか。修行を重ねて修得した技能、技量も研鑽を怠れば容易に退化してしまいますが、現代住宅の建築現場ではその技能を活かせる機会がなく、このギャップに苦しむ若い職人さん達にとって「削ろう会」への挑戦は格好の技量向上の場となっているのです。 大工職人を取り巻く環境変化は現代に限ったことではありません。江戸中期の備前藩では、安土・桃山から続く「楽市楽座」的な商業活動が否定され、藩による統制が敷かれ自由に大工仕事を請負うことができなくなります。意匠上の新たな試みや技術的な冒険は許されず、「セオリー通りの作事仕事」が求められたのです。この時期、目に見えない処に必要以上に拘った建物が全国に現れたのは、こうした窮屈さへの憂さを晴らす目的もあったのかもしれません。 後楽園の延養亭玄関から振り向くと操山の中腹に木造の塔が一級建築士「近代建築施工技術史研究会」会長。明治・大正・昭和初期までに開発された建築施工技術とそのルーツを調査研究。特に「伝承されなかった幻の建築技術」の発掘をライフワークとし全国行脚中。行って発見 !見て感動 !児玉 博文文・撮影アイ・デザイン株式会社設計部・部長建造物からひもとく歴史見聞録建築士児玉 博文の木造大工職人のこだわりこだわえんようていかんなくずなぜけんさん「削ろう会」模範演技・大カンナ掛け予選会の様子指が透けるほど薄い鉋屑安住院多宝塔UGコラム20

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